Message 教授あいさつ

MESSAGE 教授あいさつ

独創的で質の高い
研究を展開、
研究活動を
さらに発展させたい
大学院教授 加藤 大輔 Daisuke Kato

2024年4月1日付で日本医科大学大学院医学研究科感覚情報科学分野(生理学)教授に着任いたしました。ここに謹んでご挨拶申し上げます。

私は2002年に名古屋市立大学医学部を卒業後、神経内科を専門とする臨床医として診療に従事する中で、アルツハイマー型認知症をはじめとする神経疾患の症状発現機構や病態解明に深い関心を抱くようになりました。2008年より、名古屋市立大学神経内科学教室において記憶関連因子に関する研究に従事し、研究者としての道を歩み始めました。

その後、学位取得を経て、認知機能と神経回路の関連に着目するとともに、頭部MRIを用いた臨床研究を展開して、白質障害と認知機能障害の重症度との相関を明らかにいたしました。この過程で、神経回路の基本メカニズムを究明する重要性を認識し、2013年より基礎生物学研究所・生理学研究所において、二光子顕微鏡や光遺伝学的手法を用いて、神経細胞およびグリア細胞の働きを計測・操作し、それらと認知機能の因果関係を解明する研究に取り組みました。さらに、脂質分子の役割に着目し、グリア細胞の中でも特にオリゴデンドロサイトの機能を制御する分子機構の解明にも成功いたしました。

2017年には、研究のさらなる飛躍を目指して、神経精神疾患研究が盛んなマウントサイナイ医科大学に博士研究員として留学いたしました。多国籍の研究者との議論や交流を通じて視野を広げるとともに、神経細胞間の結合性が神経回路の働きを規定する重要な要因であることを学びました。この知見を生体で計測し、神経疾患との因果関係を探る必要性を認識いたしました。帰国後の2019年からは、一細胞レベルで特異的に機能を操作可能な最先端顕微鏡の開発とその応用研究に従事し、神経精神疾患の病態解明に向けた新たな知見を提供してまいりました。

今回の着任にあたり、これまでに培ってきた知識と技術を活かし、生理学、解剖学、神経科学のみならず、理学や工学など異分野との連携を通じて、研究の新たな可能性を追求していきたいと考えております。また、生理学教室がこれまでに築き上げてきた研究技術と、私自身の生体イメージング技術を統合することで、独創的で質の高い研究を展開し、研究活動をさらに発展させたいと存じます。

さらに、次世代の研究者を育成することにも力を注ぎ、基礎医学と臨床医学の連携を図りながら、医学生から大学院生に至るまで途切れのない教育体制を提供し、責任感と共感、そして寛容さを備えた研究チームの形成を目指してまいります。